方向感の出にくい展開か
3/7~3/11の米国株式市場は、3/10に米国CPI発表とECB理事会が予定されており、3/15~16のFOMCに向け思惑が錯綜し方向感の出にくい相場となりそうだ。
ウクライナ情勢はセンチメントに影響を与える可能性はあるが、実体経済への影響は限定的か。NATOが介入しない旨を発表しており、直接米国が紛争に巻き込まれる可能性は低く、対露制裁と報復の規模が米国株式市場での主な懸念材料と考える。ロシアからの報復やウクライナ問題が招くと想定される影響には、①原油や天然ガス、穀物の価格高騰によるインフレリスク、②直接的影響を受けやすい欧州景気減速による米景気への影響、③ウクライナへの依存度の高いネオンガスやロシアが高い市場シェアをもつパラジウム等の調達難による半導体産業や自動車産業への影響、などが考えられる。これらが主な株式市場への影響経路と思われる。
3/10にECB理事会が予定されており、内容次第では米国でもFRBが若干ハト派に振れる期待が出る可能性もありそうだ。ただ既にパウエル議長が3/2の議会証言で3月FOMCでの25bp利上げ支持に傾いている旨や利上げは一部の市場参加者が恐れる程にはならないと発言したことから、低めの利上げはある程度織り込まれていると予想する。また3/10に2月CPI発表が予定され、前年同月の低いインフレ率を踏まえれば、インフレ率が高めになることが想定される。方向感の出にくい相場展開を予想。
(3/3朝記 投資調査部 藤本)