<2021年のNYダウ予想レンジ> 27,000~33,000ドル程度
・2021年の米国株式市場はじり高の展開を想定
・CDCは年後半に全米の成人のワクチン接種が目標。経済活動の正常化が意識されよう
・緩和的な金融政策と拡張的な財政政策が続くことになりそうだ

2021年の米国株式市場はじり高の展開を想定する。ワクチン開発成功により経済活動再開への期待感が高まっており、年後半にかけて確りか。NYダウの予想レンジは27,000~33,000ドル程度。

コロナウィルス感染拡大により、2020年の米国株は在宅勤務関連のSaaS系のクラウド企業等が買い進まれる傾向で、それ以外の業種はバリュエーションが割安でもそのまま放置される傾向にあった。
2021年は経済活動の正常化が進むにつれ、銘柄の物色対象が広がるものと考えている。ワクチン接種の目標に関しては、7月までに累計で4億回のワクチンの提供を受ける計画となっている。現政権の政府高官も6月までに希望者全員の接種が可能と発言している。また*(1)CDCも2021年後半に米国の成人全員の接種を目標としていることから、かなりの数の人が年後半にはワクチン接種を終えることになりそうだ。これに伴い経済活動の正常化が進み米国株式市場を押上げそうだ。
経済活動再開が進む中でも、現在行われている金融政策や財政政策の引締めまでには時間がかかりそうだ。12月のFOMCでFRBは資産買入の終了までの道筋を示すことはせず、物価と雇用の目標達成に大きな進捗があるまでの資産買入継続を表明した。FOMCで示された見通しによると物価上昇率2%を意識する水準に到達するのは、恐らく2022年と考えられる。ワクチンの普及も年後半になることから、出口を意識し始めるのはそれ以降となると思われる。
財政政策に関しても、現在審議中の追加経済対策について、バイデン氏は「頭金」と発言。イエレン財務長官候補も低金利と拡張財政の信奉者のケインズ主義者との評価もある。行政管理予算局や*(2)CEA、*(3)NECのメンバー候補にも環境やESG、格差問題等で経験を積んだメンバーの参加が想定されており、公約を実行していくことが想定される。ジョージア州の上院選挙の結果次第では増税のハードルは上がる可能性があり、財政面も支援材料となりそうだ。
*(1)CDC:米疾病管理予防センター、*(2)CEA:米大統領経済諮問委員会、*(3)NEC:米国家経済会議
(12/24記 投資調査部 藤本)